9月9日は、五節句のひとつ「重陽の節句」です。
五節句とは、江戸時代に定められた5つの式日(今でいう祝日)をいい、1月7日の人日の節句(七草粥)、3月3日の上巳の節句(桃の節句/雛祭り)、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕の節句、9月9日の重陽の節句をさします。
古来より陰陽思想では、奇数は縁起の良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考え、その奇数が連なる日をお祝いしたのが五節句の始まりで、めでたい反面悪いことにも転じやすいと考え、お祝いとともに厄祓いもしていました。中でも一番大きな陽数(9)が重なる9月9日を、陽が重なると書いて「重陽の節句」と定め、不老長寿や繁栄を願い、菊酒を飲んで祝いました。
今では五節句の中でも影が薄くなりましたが、五節句を締めくくる行事として、昔は最も盛んだったといわれています。
鍼灸の治療も、この奇数・偶数を考えて行うこともあります。奇数は補う、偶数は取り除く数字とされています。これは、「易」からきているといわれています。
例えば、冷え症の方に温かさを補いたいときには、必要なツボ(経穴)にお灸を奇数回据えます。また、コリや痺れ、麻痺などその身体の場所に血行不良などの滞りがあるときは、偶数本の鍼を並べ施します。不思議とこうすると結果が良いことも多くあります。
東洋医学には、医学的なものだけでなく、易や運気学説の考えも含まれています。ただ単に筋肉や神経など肉体だけを診て治療するだけでなく、生まれ月や季節や気候、食事・睡眠・排泄、仕事など、どのような生活状況・環境にあり、どのような精神状態なのか?まで治療の判断材料とします。だからこそ、「人を診る医学」と呼ばれているのです。
同じ肩こり・腰痛でも、人によって痛みの場所や性質は様々です。原因が違うのであれば結果も違うはずです。
子供の頃、学生の頃から学校へ行って友達の顔色が悪くいつもと違く見えたら「どうした?調子悪い?」と声をかけていたと思います。
そういった、基本のようなものを大切にしているのが東洋医学です。